秦基子

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子供政策を考える

  新聞等の報道では昨年1年間に生まれた新生児の数が77万人と過去最少となり  従前から言われてきた少子・高齢化が一段と鮮明になってきた。  政府は、少子化の要因として、出産育児の費用負担や仕事との両立の難しさ。そして  コロナの影響もあったと解説している。その通りでそれは大きな要因である。  しかし、もう一つ、出産をためらう大きな原因があると思っている。  それは【育児が母親の責任】となっていることである。  それはひとえに、父親が否応なしに仕事に駆り出され、ひたすら働き続けることを  余儀なくされていることにある。  戦後、多くの人は雇用労働者(いわゆるサラリーマン)となり、法人に身を置き  会社の期待に沿って働くことが普通の状態となった。  雇用労働者になることで、収入が安定・向上したことは紛れもない事実で、そのことが  個人の家庭生活を豊かに導いてくれたことは間違いない。  一方で、雇用労働者となることは、会社の指示命令に沿って働くことを求められる。  期待・要望が増幅すればするほど、自分の意思を超えて企業の生産手段としての行動を  強いられる。家族を大切にしたい。家族と過ごす時間をもっと持ちたい。それは人と   して自然な欲求であるにもかかわらずそれを求める行動はとりにくい。       結果として、子育ては母親の専任領域となってゆく。  2050年には人口は9500万人ほどに減少し、就労人口が5000万人を下回る  ことはすでに予測済み。労働力不足は危機的なほどに高まることは必定である。  財界トップが傘下の企業に指令を出すことで必要な人材確保につながる。  働き方改革の方向性は政府に委ねるのではなく、財界自身が考え行動すべきである。  リモートワークも、言葉の響きの良さで終わらせず、ホームオフィスでの仕事が普通に  なれば,家事の負担は夫婦での共働が可能となるはず。  子供を持ちたいという家庭が増えれば国にとって、雇用主にとって、何より個人の家庭       に   とって最良の選択になると思うのだが。 

君たちはどう生きるか

君たちはどう生きるかコラムの記述からしばらく遠ざかっていました。年度末で様々な手続き等に追われ多忙というのが一番の理由ですが、もう一つの理由は“コロナにやられた!”という事情があったからです。罹患当初は熱よりもノドの痛みと咳に悩まされ、食事がとれず体重も4キロ近く落ちました。でもご安心ください。元の元気な秦に戻っていますから。さて、今日のテーマはまさにタイトルに書いた言葉についてです。このタイトルは、岩波文庫で1982年に第一版が発行された吉野源三郎さんの書かれた書籍です。(原文はもっと古く、1937年に書かれている)この本とは別に最近漫画本で同じタイトルのものが人気を得ており、とりわけ成長期にあるお子さんのいる家庭で、両親やおじちゃん・おばあちゃんが孫に読ませたいと買っておられるようです。私が今日のコラムでお伝えしたかったのは、まさにこの本のタイトルの言葉です。昨今のニュースの話題として、AIやチャットGPTが取り上げられない日ありません。それほどに我々の生活にAIやチャットGPTが入り込んできています。例えば学校で提出を求められるレポートにチャットGPTを使えば、出題者の意図に沿った模範的な回答が瞬時に提供されるとか、恋文(古いなぁ!)も自分で文を作るよりこの手法に委ねれば素晴らしいレターを作り上げてくれる!なんと素晴らしいことか、、、、瞬間思いますが、待てよ!それって実は自分がAIに支配されていないか!自分の本当の気持ちはそうなのか?と考えると恐ろしくなってきます。そうでなくとも、前にも書いたように我が国における人と人の関係は無言の同調圧力に支配され、多数の声と違う発信をすると途端に異端者にされてしまい言葉を失う。そんな我が国に国民の意思をコントロールするAIが幅を利かせるであろうこれからの時代。恐ろしくなってきます。皆さん一度タイトルに書かせて頂きました吉野さんの【君たちはどう生きるか】を書店で購入されることをお勧めします。読んではいませんがマンガ本も。書籍の値段は970円+税です。